あらすじ
「王様が『静寂』をご所望だー! 全員、息を潜めよ!」
人目を恐れ、クラスや職場の平均値の影に隠れて「透明な存在」として生きてきた三十歳の河野。
アパートの火災から愛するハムスターを庇って倒れた彼が目を覚ましたのは、無数の毛玉たちがひしめき合う異世界「ハムハム共和国」でした。
人見知りゆえの曖昧な返答は「深謀遠慮」と称えられ、思わぬ形で「国王」として熱狂的な大歓声に包まれる日々。
しかし、かつて切望したはずの「傷つかない位置」と「完璧な孤独」の中に立つ彼の胸には、どこか異物感と寂しさが漂っていました。
シュールでコミカルな世界観の中で、人間の孤立と「他者と繋がる温もり」の本質を鋭く描き出す、切なくも温かな異世界奇譚です。