あらすじ
15年前、勇者一行の一員として魔王討伐を成し遂げた僧侶エルマ。しかしその裏では、魔王の赤子を人質に取り自らの手でとどめを刺した過去があった。罪の記憶を抱えたまま15年が過ぎ、不治の病で余命わずかとなったエルマはアンデッドと人間の戦いに参加し、赤ん坊を守ろうとして命を落とす。ところが目を覚ました彼女の身体には、アンデッドの証でもある瘴気が流れていた。アンデッドの女王が、瀕死の彼女に託したのは、自らと同じ長い左手を持つアンデッドの赤ん坊。魔物を根絶やしにする教えの中で生きてきたエルマは、今度はその子を「守る」側に回る。土を喰らい、瘴気を纏いながら少しずつ家族になっていく二人だったが、アンデッドの力を軍事利用しようと目論む国の追っ手が、静かな隠れ家まで迫る。剣を向けられたエルマが叫んだのは「この子の母親だ」という一言だった。人ならざる母子は、まだ見ぬ安住の地を目指し、追われる旅を続ける。