あらすじ
人類と魔王軍の戦争が終わって、三か月。
魔王城を失い、軍も解散した元魔王は、身分を隠して人間の王都で暮らしていた。
世界征服をやり直す気はない。
とはいえ、生きていくには金がいる。
そうして彼が選んだのは――役所勤めだった。
採用試験を無事に通過し、これで静かに暮らせる。
そう思っていた彼の配属先は、
《魔族被害復興局》
魔王軍によって家を失った者への補償。
焼けた村の復旧。
行方不明者の調査。
元魔族兵への対応。
つまり、自分たちが起こした戦争の後始末をする部署だった。
しかも最初に渡された申請書には、加害者として自分の名前が書かれている。
正体が知られれば、当然ながら役所勤めどころではない。
それでも仕事を続けるうち、元魔王は奇妙なことに気づき始める。
魔王軍が攻めていないはずの村。
記録から消された戦闘。
不自然に処理された補償申請。
そして、人間側にも魔族側にも残されていない、戦争の記録。
あの戦争は、本当に自分が知っている戦争だったのか。
正体を隠した元魔王が、かつて敵だった人々と働きながら、
書類の向こうに残された戦争の真相を追っていく。
戦後の王国を舞台にした、魔王のお仕事ファンタジー。