あらすじ

世界の終わりが近づいた夜。 道に迷った者の前にだけ、一軒の宿が現れる。 明日、国を失う王。 魔王討伐へ向かう勇者。 故郷を捨てることを決めた職人。 もう二度と、大切な人に会えない少女。 彼らが宿で過ごせるのは、たった一晩。 宿泊料はいらない。 ただ帰るときに、 「忘れてほしくないもの」を一つだけ残していく。 物でもいい。 手紙でもいい。 料理でも、思い出でも構わない。 宿の主人ユアンは、いつからここにいるのか覚えていない。 なぜ自分がこの宿の主人なのかも知らない。 それでも客を迎え、食事を出し、話を聞き、夜明けになれば送り出す。 ずっと、それだけを繰り返してきた。 ――ある少女が現れるまでは。 「私、百年後から来ました」 リナと名乗った少女は、なぜかこの宿のことを知っていた。 そして翌朝。 これまでの客なら元いた場所へ帰るはずの時間になっても、 彼女だけが宿に残っていた。 誰も開けることのできない十三号室。 地下に残された、数えきれないほどの忘れ物。 何百年、何千年と時代を越えて現れる客たち。 そして、どの時代の伝承にも残されている同じ宿の主人。 なぜ、この世界は何度も終わるのか。 なぜユアンだけが、そのすべてを見届けてきたのか。 これは、世界の終わりに訪れた人々と、 その記憶を夜明けまで預かる宿屋の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/08/22
  • 現在の作品『世界の終わりにしか現れない宿屋』