あらすじ
十三世紀、イスラム世界最大の都バグダード。
貧しい商人の青年ラシードは、病弱な母と幼い妹、そして幼馴染のハサンとともに、貧しくも穏やかな日々を送っていた。
いつか世界を旅し、その果てにある未知をこの目で見たい――そんな野心を抱くラシードが大図書館で出会ったのは、かつて「魔術師」と呼ばれた男、アブドゥル・アルハザードの記録だった。
そこに記されていたのは、世界を支配する法則「世界定理」と、それすら書き換えるという禁断の秘術。
やがてモンゴル軍の襲来によってバグダードは陥落し、ラシードの日常もまた炎の中に消えていく。
すべてを失った青年は、アルハザードが残した足跡を追い、長い旅へと踏み出す。
失ったものを取り戻すために。
世界の真理を、その手に掴むために。
これは、一人の人間が悪魔となり、数百年の時を越えて世界を探究する物語。