あらすじ
両親を失った三兄弟――牧口潮、凪、湊。
高校一年の長男・潮は、弟たちとともに祖父母の暮らす北海道・天売島へ移り住むことになる。
海と風と海鳥に囲まれた、小さな島。
そこで潮が入部した天売高校サッカー部は、三年生五人、二年生五人のわずか十人しかいなかった。
潮が加わって、ようやく十一人。
そして潮のポジションはゴールキーパー。
幼い頃から「守る」ことに尋常ではない才能を持っていた潮は、まるでゴールそのものに意思があるかのように、次々とシュートを止めていく。
一方、まだ中学生の弟たち――中学三年の凪と、中学二年の湊。
二人はまだ、サッカー部には入らない。
三兄弟が新たに暮らし始めた天売島には、都会とは違う時間が流れている。
潮は祖父母に負担をかけたくないと、学校とサッカーの合間に小さな漁港でアルバイトを始める。
魚を運び、網を扱い、荒れる海と向き合う日々。
その仕事は、潮にとって生活を支えるためだけのものではなかった。
足場の悪い岸壁。
突然動くロープ。
重い荷物。
海から吹きつける風。
そのすべてが、ゴールを守るための身体と感覚を鍛えていく。
サッカー。
家族。
島の暮らし。
海とともに生きる人々。
季節が巡る天売島で、三兄弟の新しい日々が始まる。