あらすじ
閉店間際の書店。天井の蛍光灯が、静まり返ったフロアの隅々まで白い光を落としている。大きな窓の外では、アスファルトを叩く激しい雨の音が途切れない。一日中降り続いた雨は、夜になっても弱まる気配を見せなかった。棚の乱れを直す私の手元には、もう一冊の客の気配もない。レジスターの精算を終え、店内に流れていたBGMもすでに絞られ、閉店を告げる定型のアナウンスが冷たく響き渡る。この静寂に満ちた時間が、私は嫌いではなかった。一日の終わりを告げる区切りであり、翌日への静かな準備の時間だった。 カラン、と、乾いたドアベルの音がフロアに響いたのは、まさにシャッターを降ろそうと店の入り口へ向かっていた、その瞬間だっ