あらすじ
卒業祝賀会の壇上で、婚約破棄を告げられた。
相手は、実の妹。
「お姉様は地味で面白くありませんもの。王子殿下には私の方がお似合いですわ」
勝ち誇る妹に扇で頬を叩かれ、公爵家当主である父からも「黙って従え」と切り捨てられる。
誰も味方のいない夜会で、私はただ静かに妹を見つめ返した。
「貴女は今、私に決闘を申し込みましたね?」
その一言で、妹は自ら退路を断った。
貴族法における「決闘の申し込み」――逃げれば家の名誉に傷がつく状況に、妹は青ざめる。
けれど誰もが、妹の圧勝を疑わなかった。
なぜなら私は、社交界随一の「地味な令嬢」だったから。
誰も知らない、私だけの裏の顔を除いては。
女性剣術大会、三年連続優勝。
仮面の下に隠し続けてきた、もう一つの名前――"銀閃の剣姫"。
翌日、王都闘技場。
決着は、十秒。
剣を弾き飛ばし、妹を地に伏せさせた瞬間、会場は静まり返った。
顔面蒼白の元婚約者、動揺する貴族たち。
そして――王国騎士団からの、まさかの勧誘。
「私から奪ったつもりだったのでしょうけれど、失ったのは貴方たちの方でしたね」
奪われた婚約、奪われた家族の愛情。
けれど、本当に何かを失ったのは、いったい誰だったのか。
静かな令嬢による、静かで圧倒的な逆転劇が始まる。