あらすじ
王都への大口納品を三十日後に控えた日、ルチアは婚約者ジェラールから「帳面を写すだけの飾り」と笑われ、婚約と染め場への立入権、そして寝床まで奪われた。仕事と住まいを探す彼女の前で、残された工房の布は次々と返品されていく。迎えた公開検品の日、失敗の責任を押しつけるため呼び戻されたルチアは、職人頭、卸商、王都の購入客が見守るなか、二百四十反を裁くことに。誰が本当に布の品質を支えていたのか。返品札が一枚置かれた時、職人たちは自ら帰る場所を選ぶ。古い工房も婚約も取り戻さず、内側から鍵を掛けられる住居付き工房を、皆との契約で手に入れるお話です。