あらすじ
「今しがた、僕は仇(かたき)の命を奪い取りました。……ゴミを片付けるように、淡々と」
比較文学者にして裏社会で暗躍するスパイ、「先生(本名:九条什造)」に拾われた九歳の僕。表の顔は一条家の息子「新(あらた)」として生きる僕は、裏では先生から名前の半分を贈られ「五樹(いつき)」の名を授かった。
礼儀作法、ナイフの扱い、そして人体の解剖学的構造。先生の教えは、僕にとって唯一の「生きる術」だった。
しかし、唯一の家族であった先生は、同業者の罠により命を落とす。
「やられる前にやる」
先生が遺した哲学を胸に、僕は動き出す。先生から贈られた最強のスパイとしての技術と、解剖学的な知見からなる完璧な「死の所作」で、ターゲットを摘み取る。
これは、血塗られた13年の果てに、師匠を殺した仇を一人残らずゴミとして片付ける、哀しくも美しい復讐の記録。
そして、復讐鬼となる前の僕が、先生と過ごした温かくも残酷な『箱庭の日々』の記憶。
――さあ、先生。今夜もゴミを片付けてまいります。