あらすじ
古傷のため公の場で踊らない私、女領主シルヴィのもとへ、三人の夫候補がやって来た。一人目は噂を消すため勝手に私の手を取り、二人目は名医による治療と回復披露を計画済み。どちらも審査終了である。
三人目の侯爵ダミアンだけは、触れる前に許可を求めた。ただし私の歩幅に合わせるたび、椅子、花台、屏風が順に犠牲となる。侯爵家の威厳も重傷だ。けれど彼は謝るだけでなく、壊すたびに場所や歩き方を変えていく。
そんな彼が、選定日の舞踏を前に候補を辞退すると言い出した。私が踊れないから見限ったのか。それとも、私が嫌だと言ったから手を放したのか。傷を見世物にされたくない女領主と、親切の意味を間違えてきた侯爵が、家具の損害とすれ違いを重ねながら、互いの一歩を選び直すお話。