あらすじ
三歳の朝、辺境伯家の三男アルノは、妹の産声を聞いて前世を思い出した。
前世の俺は、現代日本で暮らしていた潔癖症の男だった。そして転生先は中世ヨーロッパ風の魔法世界。
最初に目に飛び込んできたのは、生まれたばかりの妹を包もうとしている、どこに置かれていたのかも分からない布だった。
「それで包むなあああああ!」
手を洗え。
水は煮ろ。
布も煮ろ。
刃物も煮ろ。
井戸の近くに汚物を置くな。
最初は、ただの神経質な子どもだと思われていた。
けれど一年、二年と経つうちにアルノの周りでは子どもが死ななくなっていく。
赤ん坊が育つ。
母親が生き残る。
働き手が増える。
畑が広がる。
産婆が変わる。
村が変わる。
これは、潔癖症の転生者が、汚すぎる世界に耐えられず手洗いと煮沸を徹底した結果、見捨てられた辺境領を「子どもが死なない土地」へ変えていき、やがて国まで興してしまう物語。