あらすじ

安全にうるさい養護教諭・アンナには、誰にも言えない過去がある。 中学校の保健室には、不登校を続けるナオや、性別に違和感を抱えるヒカルなど、それぞれに悩みを抱えた生徒たちが集まってくる。 アンナは、生徒の気持ちには誰よりも寄り添う一方で、「安全」に関してだけは決して譲らない。 雷が近づくグラウンド。 猛暑の中のプール授業。 「これくらい大丈夫」 「他の学校もやっている」 そう言う教師たちに、アンナは何度でも立ちはだかる。 「危険です。やめましょう」 なぜ、そこまで安全にこだわるのか。 その理由は、平成の初め、大学生だった頃にある。 ヨット部に入部したアンナは、厳しい練習の日々の中で、主将の航平先輩に惹かれていく。 「インカレで勝つ」 そう笑う先輩と過ごす時間は、親の顔色ばかりうかがってきたアンナに、自分の人生を生きる喜びを教えてくれた。 しかし、大学二年の春。 穏やかだった海が突然牙をむく。 次々と転覆するヨット。 途切れる無線。 荒れ狂う風と波。 海に投げ出されたアンナと航平先輩は、互いの手だけを頼りに流されていく――。 あの日、海で何が起きたのか。 そして、その経験はアンナをどう変えたのか。 過去を抱えて生きる養護教諭と、保健室に集う子どもたち。 「これくらい大丈夫」が、誰かの人生最後の日になるかもしれない。 だから今日も、アンナは言う。 「危険です。やめましょう」 これは、命を守ることに誰よりも真剣な一人の先生と、生きづらさを抱えた子どもたちの再生の物語。

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小説を読もう2026/08/22
  • 現在の作品「大丈夫」の先で君を失った。だから私は、今日も止める~あの青い海に君をおいてきた~