あらすじ
小学四年生の兄が英検一級。二年生の弟が準一級。二人とも、海外に行ったことがない。
自分たちで動画もやっている。うちのチャンネルと組むことになった。
撮ってみると、二人は嘘をつかなかった。訊かれたことに、正しく答えた。ただ、答えが二文で終わる。終わったあと、次を自分から出さない。
英語で話しましょうか、と兄が言った。そこから四分、二人は止まらなかった。日本語のときとは、速さがまるで違った。給食の話をしていた。
二時間十四分を、六分半にした。答えと答えを繋いで、間を詰めた。言葉は一つも作っていない。順番だけを変えた。
出来上がったものの中で、二人はよく喋っていた。互いの言葉を受けて、続きを言っていた。笑うところで笑っていた。
英検一級は本当だ。話が繋がらないのも本当だ。海外に行ったことがないのも本当だ。
嘘は、一つもついていない。
──継ぎ目は、百四十一あった。