あらすじ

千駄木にある小さな古書店の孫娘・綴葉しおり(つづは しおり) 、16歳。 彼女には秘密がある。古い本に触れると、その本が最後に読まれた瞬間の記憶が流れ込んでくるのだ。誰が、どんな部屋で、どんな気持ちで、その頁を閉じたのか——。 役に立たない能力だと思っていた。ただの、少しだけ本と仲良しな女子高生だと。 ところが高校2年の春、通学路の廃品回収所で拾った一冊の和綴じ本——『黙秘録(もくひろく)』 に触れた瞬間、しおりの世界は反転する。 流れ込んできたのは、明治42年、雪の降る夜に帝国図書館の地下で焚書を命じられた司書の慟哭。そして本の最後の頁に浮かび上がる、現代の墨で書かれたはずのない一文—— 「きみが、次のしおり係だ」 その日を境に、しおりの周りで奇妙なことが起き始める。図書委員長の朝倉くんが読んでいた文庫本のあらすじが、昨日と微妙に変わっている。担任の机の上の日誌に、書いた覚えのない自分の名前が挟まっている。そして街のあちこちで、「読まれなくなった本」たちが、静かに姿を消していく——。 これは、消えゆく物語たちが最後の読者を求めて動き出す話。 そして、書かれた文字よりも、読まれなかった余白のほうが重いことを知る、一人の少女の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/08/22
  • 現在の作品『しおり係の少女は、廃棄図書の声を聴く』 ―― 明治の禁書が、令和の女子高生を読者に選んだ日 ――