あらすじ

日本最東端、南鳥島。本州から千九百キロの絶海、最高標高わずか九メートルの孤島である。気象庁、海上自衛隊、国土交通省の職員、合わせて二十五名が常駐し、世界水準の気象観測を支えている。観測員・西野拓海も、その一人だった。次の交代で本土に帰れば、婚約者と籍を入れる予定だった――あと、三か月。 ある夏、観測史上最強のスーパーエルニーニョが、太平洋全体を変調させていた。太平洋高気圧の壁が消え、本来なら通れない進路を、二つの台風が真っ直ぐ南鳥島へ北上する。共に中心気圧九一〇ヘクトパスカルの怪物。間に逃げる隙間は、ない。 最初の台風が直撃。庁舎は壁にひびを残し、滑走路は高波で打ち上げられた鋭利なサンゴ礫に埋め尽くされ、修理用の重機は二台とも破損。本土からの救援機C-130は、滑走路が使えず降りられない。そして追って迫る二つ目は、予想を超える速度で急発達していた。最接近まで、九時間。 二十年前のイオケを生き延びたベテラン次席。物理計算で奇策を組み立てる派遣隊長。「馬鹿な事を言うな」と拒絶しながら、最後に応じる救難飛行艇US-2機長。そして、絶望のなかから一筋の「窓」を見出す、若き観測員。 絶海の孤島で繰り広げられる、二十五人の七十二時間。

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小説を読もう2026/08/22
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