あらすじ
神崎蓮《カンザキ レン》と橘紗月《タチバナ サツキ》は、生まれた頃からずっと一緒の幼馴染だ。
同じ高校に通い、紗月は生徒会長、蓮は副会長。
学校では成績優秀、品行方正、誰からも頼られる完璧な生徒会長――なのに、蓮の前でだけは妙に口うるさく、素直じゃない。
そんな二人には、友人たちにも話していない関係があった。
――許嫁。
といっても、幼い頃の「結婚式ごっこ」を両親たちが面白がったことから始まった、正式な婚約でもない昔からの呼び名。
蓮にとっては、紗月が隣にいることと同じくらい当たり前のものだった。
ところが、クリスマスを目前にしたある日。
「私たち、許嫁だからって、ずっと一緒にいる必要ないんだからね」
紗月の言葉を聞いた蓮は考える。
もしかして紗月は、親たちが決めた「許嫁」という関係をずっと嫌がっていたのではないか。
それなら、彼女が本当に好きな相手を自由に選べるように、この関係は終わらせた方がいい。
父親にも確認した。許嫁は、二人を縛るような約束ではない。
義妹の乃々花からは「何でそうなるの!?」と全力で突っ込まれたが、それでも蓮なりに悩んで出した結論だった。
そして迎えた、十二月二十四日。
生徒会主催のクリスマスイベントを終え、二人きりになった生徒会室。
紗月からクリスマスプレゼントを受け取ったあと、蓮は意を決して告げる。
「許嫁、やめよう」
紗月のためを思って選んだはずの言葉。
けれど、返ってきたのは――
「私が、いつ嫌だって言ったの?」
十七年間、「幼馴染だから」「許嫁だから」「昔からこうだから」で片づけてきた彼女の言葉と行動。
その全部を、蓮は一つ重大なところで勘違いしていた。
幼馴染で、許嫁で、ずっと隣にいた二人が、
クリスマスイブに初めて、自分の意思でお互いを選ぶ。
婚約解消から始まる、すれ違い幼馴染ラブコメ。