あらすじ
親友の夏輝に彼女ができた。
たろにとって夏輝は一番の親友で、自分も夏輝にとって一番の友達だと信じていた。
ある日、女の子から告白された夏輝は、どうすればいいのか分からず、たろに相談する。
たろは「そういうことは自分で決めるものさ」と格好をつけて答えた。
夏輝は告白を断ると思っていた。なぜなら、自分という親友がいるから。
ところが夏輝から「彼女と付き合うことにした」と聞かされる。
予想とは違う答えに、たろは動揺する。親友を誰かに取られてしまったような寂しさから、夏輝に今まで通り接することができなくなってしまう。
そんな気持ちを抱えたまま、夏休みが始まった。
去年の夏は夏輝と海へ行き、お祭りにも行った。今年も一緒に遊びたい。でも、彼女がいる夏輝を誘うことを、たろはためらってしまう。
さらに、祖父から出された夏休みの作文のお題は、皮肉にも「友達」。作文が得意なたろなのに、原稿用紙を前にすると一文字も書けない。
そんなある夜、両親のいない家で一人過ごすたろのもとに、夏輝が訪れる。
「たろちゃん、助けて」
夏輝の家の犬、佐助が弱っているという。佐助を救うため、夏輝は河童を探していた。河童のお皿の水には、命を救う力があるらしい。
二人は河童を探す冒険に出て、ついに河童と出会う。しかし、お皿の水を持ち帰れば河童は死んでしまう。
「たろちゃん、どうしよ」
夏輝の問いに、たろは胸の奥に溜め込んでいた思いをぶつける。
親友でいたい。自分を一番にしてほしい。誰かに取られたくない。
けれど、親友だからこそ、相手の大切なものを奪ってはいけない。
小さな冒険を終えた二人は、ほんの少しだけ大人へ近づいていく。
これは、心が成長途中のたろと、一人でも強くなりたい夏輝が過ごした、忘れられない夏休みの一日の物語。