あらすじ
貧乏男爵令嬢リディア・エルフォードは、ヴァルハルト侯爵家の嫡男ローランドと十四歳から七年間婚約していた。
将来侯爵夫人となるため領政を学び、ローランドが騎士団で務めを果たしている間も、彼との結婚後を考えて侯爵領の仕事を手伝ってきたリディア。
ところが騎士団から戻ったローランドは、秘書セシリアから奇妙な事実を知らされる。
リディアが深く関わっている謎の新興商会――アステル商会。
莫大な借金。
侯爵家から商会へ流れる大金。
そして、湿地、潰れかけた工房、廃鉱山といった、価値があるとは思えないものへの巨額の投資。
質素なリディアが浪費家などとは思えない。
それでも疑念を拭えなくなったローランドは、彼女の説明すら聞かずに告げる。
「このままでは君と結婚できない。信用できないからな」
それを聞いたリディアは、静かに婚約解消を受け入れた。
七年間かけて準備してきた未来は終わった。
ならば、契約も人生も整理しなければならない。
「婚約がなくなった以上――侯爵領にお貸ししていたものを、すべて契約どおり返していただきましょう」
これは――
『浪費家』と呼ばれた令嬢と、本当に大切なものを浪費してしまった男の物語。