あらすじ
剣も魔法も、戦う力さえも持たない。
死の間際、証券会社のモニターを見つめていた個人投資家・月宮宗一郎が転生した先は、銀行も株式も存在しない、剣と魔法の異世界だった。
手元にあるのは銀貨三枚と、正体不明の力【価値眼】――人や物を見た時、断片的に「価値」の欠片が視える、不完全な力。それだけ。
だが宗一郎は気づく。
「この世界、金融がまるごと空白じゃないか」
誰も知らない「出資」という概念を武器に、宗一郎は埋もれた技術者に金を出し、無名の冒険者に賭け、傾いた商会を立て直す。
時に既得権益とぶつかり、時に自らの読み違いで手痛い失敗も味わいながら――それでも一つずつ、街に「資本」という新しい血を通わせていく。
やがて彼の噂は、辺境の街を治める貴族の耳にまで届き始める。
剣で戦えない男が選んだのは、金の流れを変えるという戦い方。
これは、投資家として生き、投資家として死に、そして投資家として生まれ変わった男が、異世界の経済そのものを塗り替えていく物語。