あらすじ
人間が嫌いだ。
正確に言えば、人間の「ちゃんとやる」という前提が信用できない。
約束を忘れる。
手順を間違える。
効率の悪いやり方を「昔からこうだから」で続ける。
そして失敗すると、誰かのせいにする。
だから俺は、人間を信用しなくて済む世界を作ることにした。
――異世界に転移した俺、ゼオンは、魔王を倒すことよりも先に、この世界の「仕組み」のほうが壊れていることに気づいた。
そこで作ったのが、人間のミスを前提に動くシステム。
人間が間違えても止まらない。
誰かが失敗してもやり直せる。
一人の無能が全体を壊さない。
完璧な人間など必要ない。
人間が不完全なままでも動き続ける世界を作ればいい。
そう考えて作り上げたシステムは、やがて魔王の「完璧な管理」を打ち破り――なぜか世界そのものを救ってしまった。
だが、世界を救ったからといって、人間がマシになるわけではない。
「なぜ誰も、この無駄な手続きを疑わない?」
「その行列、三倍の速度で処理できますよね?」
「昔からこうだった? ……それは改善しない理由になっていない」
今日も俺は、人間の非効率にキレながら、世界にパッチを当てていく。
人間は信用しない。
だからこそ、人間が失敗しても壊れない世界を作る。
これは、そんな面倒くさい男が、世界を救った「後」の物語でもある。