あらすじ
「ロミナンス・イコレット。我々が選出した1人だ。君の指揮下に居る者で間違いないな?大佐」
渡されたファイルに挟まれた奇妙な経歴の束。
記憶から思い出すのは、全てを諦めた様な目付きの男。
しかし同時に、諦めるとは程遠い男でもある。
「我が基地に所属している事に間違いありません」
「では次だ。率直に聞こう、大佐。英雄とはなんだ?」
英雄。
功績を残した。名を残した。影響を与えた。
普遍的な表現か?
だが、この部屋に居る者の求めるものではないな。
「愚行が噛み合っただけの運が良い奴。それが私の考える英雄です」
「そうか、大佐。では、英雄は人の意図によって生み出せると考えるかね?」
意図的に英雄譚を創り上げる計画か。
虚像であれば、今までに何度も情報戦の果てとして生まれて来たが . . .
しかしそれは、本当の意味で英雄とは言えない。
本物を用意しろ、我が身はそう言われているな。
「伝え方を変えよう、大佐。ロミナンス・イコレット。彼を次期戦争に於いて、我が国の英雄に仕立てよ。
それがこの場に居る者の総意であり、君への命令だ」
それは、何とも難題を渡されたものだ。
この我が身は、彼の上官であるというだけの不運に振り回されるのか。
「承りました」
「では頼んだぞ。必要な手駒は君の指揮下に移動させる。有効に活用したまえ」
手駒、とな。 この我が身もその一つに過ぎない。
だが奴はそれ以上に、だな。
イコレット、どうやら貴様も我が身も、相当に運が悪い様だな?