あらすじ
還暦を迎えた真司、美和、奈津子、亜希の四人は、高校時代の同級生として数十年ぶりの再会を果たす。定年退職、離婚、死別、晩婚――それぞれに人生の傷を抱えながら、「今さら青春をやり直そう」と山奥のキャンプ場へ集まったのだった。
だが、その夜、記録的な豪雨によってキャンプ場は外界から孤立する。
停電。圏外のスマートフォン。姿を消した若いアルバイト。そして、離婚した元夫から亜希のもとへ届き続ける不気味なメッセージ。
『俺は近くにいる』
かつて心を病み、社会から転落した男・佐伯修一。彼は十年間積み上げた憎悪と執着を胸に、還暦を迎えた元同級生たちの“遅れてきた青春”を終わらせるため、嵐の山へ姿を現す。
通報を受けて駆けつけた警官たちも、キャンプ場の管理スタッフも、次々と消息を絶っていく。助けは来ない。逃げ道もない。
夜が深まるにつれ、若き日の恋心や後悔、友情の記憶が暴かれていく一方で、雨の闇の中では、誰かが確実に命を狩り続けていた。
六十歳になって初めて語られる「あの日の想い」。
人生の終盤に差しかかった四人を待っていたのは、甘酸っぱい再会ではなく、血と狂気に彩られた最悪の同窓会だった。
青春は、とっくに終わったはずだった。
――だが、もしも人生の最後に、もう一度だけ青春が訪れるとしたら。
その結末は、「朝日」というよりも「残酷」と呼ぶかもしれない。