あらすじ
世界のどこかに、予告なく異界の門が現れる。
ひと月が過ぎれば門は開き、内側から無数の魔物があふれ出す。
それを止められるのは、教会が異世界から召喚した勇者ただ一人だとされている。
国外、紛争地帯、悪路。
正規軍ではたどり着けない場所に現れた門は、教会公認の民間傭兵団〈聖勇者護送指定団・第三号〉が担当する。
通称、片道屋。
彼らの仕事は、その勇者を期限内に、門まで生きたまま送り届けることだ。
崩れた橋は力ずくで架け直し、道を塞ぐ魔物は殴り倒し、逃げ出した勇者は担いで運ぶ。
行程を組み、飯を炊き、遅延の理由を書き、追加経費を請求する。
門の中で何が起きるかなど、彼らの知ったことではない。
契約はいつも、門の前で終わる。
門が消えたあと、その場所には勇者の遺体だけが残る。
使命を信じる勇者。
すべてを疑い、帰還を求める勇者。
自分が消えても構わないと思っていた勇者。
三人の異世界人を同じ手続きで運ぶうち、傭兵たちの中に、帳簿では精算できないものが残り始める。
英雄を死地まで運び続けた〈片道屋〉が、初めて帰りの荷を取りに行く物語。