あらすじ
あの日、俺の前から神取萌子は忽然と姿を消した。
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、「ごめん」と何度も俺の胸で泣きじゃくった、あの夏の夜を最後に——。
出会いは高校時代。
eスポーツ部のエースとして格闘ゲームに明け暮れていた俺・工藤蓮斗は、文芸部との対抗戦で、ドストエフスキーを片手に超絶プレイを繰り出す謎の文学美少女・神取さんに完敗した。
「神取さんのゲーム友達になってほしい」
そう頼まれて文芸部に足を踏み入れた俺は、言葉少なでもゲームを通して、彼女と誰よりも深く心を通わせていく。
だが、二人で全国大会を目指そうと約束したあの日——「8月23日」という日程を告げた瞬間、彼女は絶望に顔を歪めて姿を消してしまった。
それから2年。
大学1年生になった俺は、今も消えた彼女の面影を追い続け、再び文芸部の扉を叩く。
「神取さんのことは諦めろ。後悔することになるぞ」
親友からの冷たい警告と、胸を締め付ける過去の後悔。
そんな俺のスマホに、2年間音信不通だった「神取さんの兄」から、切迫した着信が鳴り響く。
——なぜ彼女は消えなければならなかったのか?
止まっていた俺たちの時間が、今、再び激しく動き出す。