あらすじ
『僕はみんなを幸せにする』
父はそう言って、また新しい妻を迎える。
魔王乱立の時代。自由都市の英雄、アロフィス・ソルゾラス。魔物を狩り、民に慕われ、教会に寄付を積む白金等級の冒険者。教会が英雄と認めた男を、疑う者は誰もいない。
けれど娘のリリアは、いつからか気づいてしまった。
父はおかしい。母は無理をしている。そして、その父を英雄と讃える者たちも、みんなおかしい。
――この人たちのようには、生きたくない。
十三歳の夜、リリアは屋敷を出た。
流れ着いた船着き場で拾ってくれたのは、船宿の老婆と、一人の女冒険者。彼女もまた、この街に二人しかいない白金等級だった。
英雄の血を引く少女は、家事を覚え、変装を覚え、戦いを覚えていく。
やがてその変化は、屋敷に残された母にも届く。
父のハーレムを陰で支えていたのが誰だったのか、父だけが、まだ知らない。