あらすじ
「買い被るな。俺はただの鍛冶屋だ」
日本から魔法の世界へ迷い込み、山奥で工房を営む町工場職人・柴田源吾。
彼が信じるのは、魔力でも聖剣でもない。熱、炭素、寸法、そして壊れた理由だ。
ある日、血まみれの女魔王ルヴィアが工房へ落ちてくる。源吾が手にした試作品は、彼女の強固な魔鎧を一撃で斬り裂いた。
滅亡寸前の魔王軍を救ってほしいと請われても、源吾は英雄になる気などなかった。
彼が作るのは、最強の剣ではない。
名もなき兵士でも折らずに使える短槍。刃を受け流し、壊れた箇所だけ交換できる鎧。補修しやすい荷車。
元研究院のエルフ助手リュシアとともに、修理・量産・兵站によって「百人が生きて帰れる軍」を作り直していく。
しかし戦争が終わり、源吾の刻印をつけた部品が遠い鉱山へ渡ったとき、七人が死ぬ。
正しく作ったはずの鉄は、なぜ壊れたのか。
技術監察官セラフィナと事故を追ううち、源吾は「自分が全部見る」という職人の責任こそ、次の事故を招くことを知る。
剣を折る話から、国の壊れ方を直す話へ。
偏屈な職人と、彼の炉を巡る三人の女性が、技術と記録で戦争と事故の両方に挑む異世界ものづくりファンタジー。
全70話+閑話3話、約25万字、完結済み。
※旧アカウント削除に伴う再掲載・改稿版です。