あらすじ
県警本部捜査一課に配属されて二年目の妙円園魁吏は、源田班のメンバーのひとり。その源田班に新たな人員が加わることになった四月。立て続けに奇妙な事件が発生する。
源田班は、警部の源田粛、警部補の川﨑章と斎藤朝子、巡査部長の魁吏、新メンバーとなった巡査の湯浅廻で構成。主に殺人や検視が必要な現場を担当することとなっているが、実情は違って、あらゆる現場に出向いているのだった。
その源田班にいる魁吏には裏の顔がある。それは、子役時代を経て、俳優として様々な作品に出演してきたこと。魁吏の父親は俳優、母親は監督という家柄の生まれで、生後二週間でドラマデビュー。以降、ドラマと映画を合わせ、主演作二本を含む計十五の作品に出演。華々しい経歴を持つ魁吏は、誰にも理由を言わずに高校卒業と同時に芸能界を引退。大学進学から警察官の道へと歩んできたのだ。魁吏が元俳優であることを知る川﨑たちからいじられる魁吏。冷徹だと言われながらも、人間味あふれる聴取で、数々の被疑者に罪を吐かせてきた経験も持つことから、班員たちから頼られている一面も持っている。
一見普通の班に見えるこの五人だが、厄介なメンバーが集うせいで、他の刑事たちから、塵だの芥だの、お荷物扱いを受けているのだ。この一年前、源田班に魁吏が加わった年に発生した一軒家における殺人事件。その事件における被疑者を逮捕できずに逃がしたことが、原因とされている。事件発生から時が経ち、捜査は打ち切りに。しかし、捜査を諦めない男がいた。その名も、作間仲持。諦めの悪さから一人で被疑者の行方を追っていた。
そして年が明けた一月、一家殺人事件の被疑者が作間を名指しにして送ってきた一通の手紙。それをもとに、作間は魁吏を連れて、指定された場所へと向かう。時間になるまで、見回りをしつつ待っていた二人に、緊急の応援要請が入る。テレビ局に爆弾を仕込んだという手紙が届いたとの通報だった。応援に向かうよう言う作間だが、一人にはしていけないと抗う魁吏。しかし、結局魁吏は応援に向かうことに。川﨑や朝子が来るのを待っていた仲持は、追っていた被疑者が巻き起こした爆発事件に巻き込まれて重傷を負い、二か月が経過してもなお、植物状態のままでいる。そうした過去により不当な扱いを受けながらも、あらゆる事件で被疑者を逮捕してきた源田班に襲いかかる、立て続けに発生した三件の殺人事件。不審な死を遂げた遺体がそれぞれ、クリーンセンター、処刑場跡地、スタジオの駐車場で発見されたのだ。被害者と被疑者を巡る因縁。すれ違い。恋。様々な背景から発生した、一見すると無関係に思える事件も、実はそうじゃなかった!? 事件が発生した場所が所在する地名が鍵を握る。その謎を紐解いた先には、未解決事件の被疑者の姿があって……。
子役上がりの元俳優が魅せる舞台の幕が上がる。「まもなく、怪演のお時間です」。