あらすじ
町の郵便係エミリアが、母から預かった領主リチャード宛ての一通を配達すると、なぜか「領主様との縁談」が町中を駆け巡った。気になっていた町薬師クリストフまで急によそよそしくなり、次の便では同じ封筒が返ってくる。
糊の浮きと筆跡を確かめれば、中身は母が本人に無断で出した縁談の申込書。母と話し合い、領主から返送の事情とクリストフの任用、給金と住居まで聞いたエミリアは、返された封筒へ今度こそ自分の意思で書く。
「夕食を一緒に。返事は食べて寝てから」
出発の荷をまとめた彼へ届けた短い招待が、郵便局員、領主、反省したはずの母まで巻き込む大騒ぎに。別れ話寸前の両片思いが、返事より先に食事と寝具と荷物を動かしていくお話。