あらすじ
「毒婦アルヴィーナ、貴様との婚約を破棄する」
雪の残る初春の朝、断頭台の上で私は婚約者だった第二王子にそう告げられた。義妹ミレーユの仕組んだ毒殺の罪。誰も信じてはくれず、刃は落ちた。
幼い日、屋根裏に追いやられ凍える冬を過ごした私に、唯一寄り添ってくれた渡り鳥の精霊《春告げの君》。『次に春が巡る時、必ず迎えに来る』――その約束を果たせないまま、私の命は散ったはずだった。
しかし目を覚ませば、そこはすべてが始まる三年前。ミレーユが公爵家に来る前夜の、あの屋根裏部屋だった。腕に浮かんだ渡り鳥の紋様は、一冬に一度だけ未来の光景を届けてくれる。
「もう、大人しく殺されてなどやりませんわ。だったら話は簡単ですわ。全部、先回りしてやりましてよ」
破滅までの筋書きをすべて知る悪役令嬢が、義妹の陰謀を、婚約者の裏切りを、父の無関心を――一つひとつ先回りして覆していく。そして果たされなかった、あの約束の行方は。
渡り鳥が北へ帰る朝に始まる、やり直しと再会の物語。長い冬を越えて、春はもう一度巡る。