あらすじ

文化年間、雪深い越後。瞽女の澄乃は、行方知れずの者のために膳と履物を置く「空座」を目にする。師の小萩が禁じられた留め唄を歌い、沈黙の間に失踪者の名を呼ぶと、終えられなかった仕事や約束が、呼んだ者の身体へ宿った。 遺骸も、隠された罪も見つかる。だが呼び手は自分を失わぬまま、不在者の続きを生き始める。妹を捜す荷駄稼ぎの惣吉と雪の村々を巡るうち、澄乃は、消えた者の多くが共同体から「いなくなってよい」と選ばれていたことを知る。 数十の空座を前に、澄乃は一人を犠牲にする古い歌い方を拒む。名を呼ぶ者、失踪から利益を得た者、記録を残した者。それぞれに、返せるものを返させるために。

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カクヨム
カクヨム2026/08/21
  • 現在の作品空座の留め唄