あらすじ
魔王を倒した最強の勇者が、人生の最後に願ったこと。
それは「弱くなりたい」だった。
勇者の力はあまりにも大きすぎた。ひとりで軍隊を超え、国家すら止めることのできない個人を、誰も扱うことができない。
「頼むから、もうこの国に関わらないでくれ」
王の切実な願いを受け入れた勇者は、誰にも迷惑をかけないよう世界から距離を置き、そのまま孤独な生涯を終えた。
次の人生があるのなら、もう強くなくていい。誰かに助けてもらえるくらい、弱い人間になりたい。そう願って死んだ彼が目を覚ました場所は、陰陽術が存在する現代日本だった。
落ちぶれた陰陽師、境家の息子。
彼はカナタと名付けられた
カナタの霊力量は、同年代でも最低級。
彼は思った。
「これで戦わなくていい」
「これで普通に生きられる」
はずだった。
陰陽術を学び始めたカナタは、あることに気づく。
「なんで使った霊力をそのまま捨てる?」
使い終えた魔法をキャンセルし魔力を回収する。
それは前世では当然の常識だった。
それが、この世界にはない。
魔法と陰陽術。まったく異なる二つの技術を結びつけ、カナタは最低級の霊力を何度も回収して使い回す、現代の陰陽師には存在しない戦い方を作り始める。