あらすじ
19世紀末、栄華を極めしイギリス帝国。
日々めざましい発展を遂げているその国の片隅で、今日も一羽の「庭鳥」と一人の「探偵」が街を駆けている。
片や雇用主を定刻通りに起こす為。片や持ち込まれた事件の真相を解き明かす為。
交わろうにも交われぬように見えるこの二つには、ある一つの共通点がある。
──それは「朝を齎すものである」ということだ。
後期ヴィクトリア朝イギリス×異色・異職のバディ×ミステリー
これは異なるけれど似ている、少し変わった二羽の「鳥」が出会い、共に「朝」を齎す物語。
【脚本内の表記について】
〇:場面。数日間にわたる事件の際は日数も表記。
キャラ名「」:キャラクターのセリフ。
キャラ名():キャラクターの心の声、モノローグ。
キャラ名『』:回想中のキャラクターのセリフ。
():ト書き。
<>:ナレーション。
【】:登場シーンに添える、キャラクターの名前・肩書き。
『』:手紙や新聞記事などの文章、ラジオの音声。
※以下補足※
【舞台】
イギリスの架空地域・「アウレニウム」(由来はアウロラ+ロンディニウムの「二ウム」)が主な舞台。
話によっては変わることもある。
作中では「グレーター・ロンドンにある、首都ロンドンを除く33番目のロンドン特別区」として扱う。
人口30万人前後が暮らす内陸の街、という想定。
街中に幾つもの路地が張り巡らされているため「霧の迷路」という異名を持つ。
1~5番通りは上流階級、6~15番通りは中流階級、16~25番通りは下流階級、26~31番通りは最下流階級(貧民街)といった大まかな分布がなされている。
面積は下流≧中流>最下流>上流。
10~20番通りの辺りは個人商店や中小企業のオフィスなどが街角にあり、24~27番通りの川沿いには大小さまざまな工場が並んでいる。
【時代】
20世紀初頭(ヴィクトリア朝後期)辺りがモチーフ。
ただし戦争などの過激な部分・現実における差別表現等、現代の読者の価値観や出版物としての倫理にそぐわない部分は、物語の進行上必須になる(例:登場人物の人生背景や動機に絡む、トリック上外せない要素になる……等)場合を除いて極力避ける方針の予定。
【主要な登場人物】
〇二コラ・ジョンソン
10代前半の女性。主人公その1。
「ノッカー・アップ」(通称:庭鳥)の仕事をしている人々の中の一人。
癖毛の赤みがかった栗色の髪とぱっちりした緑色の瞳が特徴的な、人懐こく明るい少女。
特技は建物登り(クライミングと軽めのパルクールを足した感じ)。
アウレニウム地区の22番通りの小さなアパートで職人の父と針子の母、同じく職人の兄と靴屋の姉、それからニコの五人で暮らしている。兄姉とは仲がいいものの、父母とは「大人」と「子供」という視点で反りが合わない。
家計が(労働者階級の中ではマシな方だが社会全体で見れば)貧しいので、家計の足しにするためノッカー・アップとして働いている。
一応学校にも通っているが、二コラが持つ純粋な視点は同年代の子供とすら噛み合わず、随分と居心地の悪い環境になっている。その為、彼女の口から学校に関する詳細な情報は極力出さないようにする。
〇デイヴィッド・ターナー
20代後半の男性。主人公その2。
アウレ二ウム地区の15番通りにあるアパート「ハドル・パーチ」の2-B号室(2階にある2番目の部屋)に住む探偵。
ほどほどにセットされたサラサラの黒髪と切れ長の青い瞳が特徴的な、整った顔立ちの青年。
趣味は読書と絵描き。
数年ほど前に彗星の如く現れ、瞬く間に市民の間で有名になった若き探偵。
この数年でそれなりに実績を得ており、スコットランドヤードからも色々な意味で顔を覚えられている。
特に因縁のある「お髭の警部」ことロンズデールからは「与太烏(よたがらす)」と呼ばれている。
普段はガサツだが、仕事中と趣味の絵描きをしている最中だけは例外。物凄く丁寧で慎重、繊細な作業もそつなくこなす一面を見せる。
ちなみに絵描きは絵の具を使うようなものではなく鉛筆画(風景スケッチ等)である。
本名はエルマー・ベンジャミン・カルヴィン・デイヴィッド・エマニュエル・フィンチ=フィッツレイン。
正体は現在行方不明と噂されている、フィンチ=フィッツレイン家(階級:地主貴族)の長男。
貴族の世界に馴染めず、貴族としての家族の在り方に嫌気が差し、家を継ぐのが嫌になり一方的に縁を切って家出した。
一族の中で唯一「家を継がずとも人の役に立つならば良し」と言ってくれた大叔母の遺産(夫は既に他界、子どもがいなかった為にデイヴィッドが受け取れるようにしてくれた)を持ち出し、邸宅から遠く離れたアウレニウム地区にて高等遊民として暮らしている。
そんな生い立ちであるが故に、決められた役割に沿って動くだけでなく、人間が持つ理性・本能・感情に従って動き、身近なものに個としての情を抱く「人間」を愛している。
そんな人々を身近に感じながら生活したいが為に探偵になった。
ニコラのような裏表のない友人・ハドルストンのような家族同然で接してくれる隣人・ロンズデールのように真正面からぶつかってくれる好敵手を得られたことで少しずつ不満や空虚を満たしていくこととなる。
〇ロンズデール
40~50代の男性。
スコットランド・ヤードに所属するベテラン警察官。階級は警部。
趣味はバードウォッチング。
探偵ものにありがちな「探偵をライバル視する頭の硬い刑事」ポジションの想定。
1話からデイヴィッドにつっかかっては躱され、二コラから「お髭の警部さん」と呼ばれることになる。
頭が硬くデイヴィッド達が現場に立ち入るのを良しとしないが、根は真っ直ぐで善良。
警察になったのもひどくしっかりとした道徳心と倫理観、愛国心などが理由であるため、理由もなく他者に厳しく当たるようなことはしない。
デイヴィッドからの指摘についても真っ当であればきちんと聞き入れ、筋の通った推理は信用し(あるいは裏取りをして補強し)、必要であれば助けを求める/助けを差し伸べる。
もちろん、警察側がデイヴィッドに依頼している際にはきちんと情報共有や現場への立ち入りをサポートしてくれる。
あくまで反発するのは「一般市民が事件現場に立ち入ること・権限無しに警察と同じことをしようとすること」が理由であるため、正当な理由があれば拒みはしない。
ただし前述の通りに頑固かつ倫理観が真っ当なため、諮問探偵だろうが何だろうが警察以外の一市民が現場に入ることは受け入れがたく思っている。
その為行動はすれど、嫌がっているのが顔には出る。
〇ハドルストン
60代の男性
デイヴィッドが暮らす「ハドル・パーチ」の主人・大家。
趣味はガーデニング。
元々はロンドンで公務員(ミドルクラス)としてバリバリ働いていたが、定年退職した今はアウレニウムに越してアパートを経営しつつ、のんびりと花壇の世話をしながら暮らしている。
自身のアパートに住むデイヴィッドとは大家と住人の関係ではあるものの、新聞の記事や料理の話で意気投合する程度には良い仲。
デイヴィッドの部屋に入り浸るようになった二コラについては、ノッカー・アップと雇用主であると同時に、どこかおじいちゃんと孫のような関係でもある(少し離れた町で暮らすハドルストンの孫娘と二コラが同い年で、つい甘やかしてしまうため)。
デイヴィッドの正体については知らないが、秋の夜中に一人でアパートを訪ねてきたこと・アパートの契約の際に書類に書かれた字がいやに綺麗だったこと(元公務員だからこその着眼点)から「何かしらの事情がある」ことは察しているが、踏み込むようなことはしていない。
※※※
探偵とノッカー・アップ。異なる業種の、異なる「鳥」の名を背負う二人が往く英国ミステリー。
基本は連作短編(オムニバス)。時たま主要な登場人物達に絡む話を書けたらな、というイメージです。
(シャーロック・ホームズシリーズみたいな感じを想像していただけたら……)
よろしくお願いいたします。
ナツガタリ'26 カドコミ漫画原作コンテストです。