あらすじ

卒業を祝う夜会。王太子ヴィルヘルムは一通の告発文を高く掲げ、公爵令嬢エーディトに婚約破棄を言い渡した。罪状は、聖女候補への毒殺未遂をはじめ全五条。あわせて、王立文書院を預かる父の解任まで上奏するという。 だが、彼女は震えなかった。静かに進み出て、こう願い出る。 「口頭のお言葉と違い、文章は、あとに残ります。——原本を、拝見しても?」 前世の彼女は、出版社の校閲部で三十四年、赤を入れ続けた校閲者だった。日付は暦と突き合わせる。引用は原典に当たる。そして、嘘の文章には必ず癖が出ることを、誰よりも知っている。 煎じれば毒の消える毒草の紅茶。建国王が言っていない「御言葉」。読み上げられる罪状は、世界でいちばん疑り深い読者の前で、一条ずつ崩れていく。 やがて赤インクの先は、告発文を書いた「本当の手」へ——そして、この断罪の本当の狙いへと届く。 潔白の先で彼女を待つのは、袖にインクの染みをつけた無口な国史編纂官。彼が最後に差し出す、一枚の原稿とは。

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小説を読もう2026/08/21
  • 現在の作品悪役令嬢、断罪されたので校閲します ~殿下、「満月の夜に毒を盛った」とありますが、その夜は新月でございます~