あらすじ
建築現場で働く無骨な現場監督・桐生蓮(きりゅう・れん)は、ある日、自分が担当する現場で一人の女性と出会う。
彼女の名前は神崎葵(かんざき・あおい)。
才能溢れる内装デザイナーでありながら、どこか抜けていて、太陽のように笑う人だった。
「その缶コーヒー、一口いただけませんか?」
そんな奇妙な出会いから始まった二人は、仕事でぶつかり合いながらも次第に惹かれ合い、恋に落ちる。
穏やかで幸せな同棲生活。いつまでも続くと思っていた色鮮やかな日常。
しかし、葵の「うっかり」は少しずつ増えていく。
買ったものを何度も買う。帰り道で迷子になる。そして、大切な約束を忘れる。
病院で下された診断は、『若年性アルツハイマー病』だった。
「私の頭の中から、蓮が消えちゃうのが怖い……」
記憶というキャンバスから、思い出の色が一つずつ失われていく葵。
すべてを忘れてしまう恐怖に震える彼女を前に、蓮は静かに誓う。
「大丈夫だ。君がすべてを忘れても、俺が君の記憶になる」
これは、記憶のパレットが消えゆく中で、それでも愛することを選んだ二人の、切なくも温かい純愛物語。