あらすじ
クリスマスを迎えた帝国学院。
「学院一優しい怪異」と噂される九番さんこと春野菜々子は、生徒たちのために料理を作り、九十人全員に異なる花束ブランケットを用意していた。
そんな彼女のもとには、生徒たちから日頃のお礼を綴った手紙が届く。
お粥がおいしかった。今度はプリンが食べたい――。微笑みながら読み進めていた菜々子だったが、最後の一通を目にした瞬間、その表情が曇る。
手紙の主は、一年生の東雲陸。
彼の願いは、亡くなった最愛の兄・蒼真にもう一度会うことだった。
クリスマスの夜。菜々子は神・久遠に陸の願いを託す。
特製プリンを報酬に引き受けた久遠は、神域渡りで死者の世界・黄泉へ。
だが、西の河原で見つけた蒼真は、弟との再会を拒絶する。
「俺が会えば、陸の邪魔になります」
弟には自分の死を乗り越え、前を向いてほしい。
そう願って自らの想いを押し殺す兄に、人の心を理解できない神は問いかける。
「お主はどうしたいのじゃ?」
生者と死者。
決して再び交わることのない兄弟に、神様が一夜だけ与えたクリスマスの奇跡。