あらすじ
エテルノ王国の王宮で洗濯係として働くメイドのレーナは、二ヶ月前の事故をきっかけに、断片的な映像が流れる「予知夢」を見るようになる。
ある日、彼女は「宴の席で高貴な男性が毒殺される」不吉な夢を見た。その直後、夢に現れた男性と瓜二つの騎士・ルシアン(実は王太子オスカー)と出会う。レーナは不敬を承知で「ワインを飲まないで」と警告。彼女の予知夢のおかげで、オスカーは毒殺の危機を間一髪で回避した。
しかし、事件直後に事態は急転する。調理場に出入りしていたレーナに「毒殺未遂」の疑いがかかったのだ。マリーザによって証拠の青い小瓶を握らされ、窮地に立たされるレーナ。役人たちに捕らえられ連行されそうになったそのとき、真実を知るオスカーが姿を現す。彼はレーナに自らの正体を明かし、彼女が命の恩人であることを役人たちに宣言して救い出した。
実はオスカーには前世の記憶があり、不思議な夢を見るレーナを、自身が住む予定にしている「フィンブル宮殿」へと連れ出す。そこには、東方の花で「追憶」「あなたを忘れない」という花言葉を持つ「紫苑(シオン)」が一面に咲き誇っていた。
その花を目にした瞬間、レーナの脳裏にも「前世」の記憶が濁流のように流れ込む。
前世の彼女は、明治時代の日本で伯爵令嬢・桜和(さわ)として生きていた。そしてオスカーの前世は、彼女の婚約者であった公爵・煌太郎(こうたろう)だった。二人は深く愛し合っていたが、桜和の生家の没落と、不慮の事故によって引き裂かれていたのだ。
「今度こそ、幸せになろう」
再会を誓い、異世界で巡り会った二人は、身分差を超えて再び愛を誓い合う。
しかし、再会の喜びも束の間、毒殺未遂の裏には王位を狙う王弟フョードルの影があった。実力者で黒幕でもあるフョードルを追い詰めるには、まだ決定的な証拠が足りない。
オスカーはレーナの持つ「予知夢」の力こそが、国の平穏を取り戻し、二人の未来を切り開く鍵になると確信する。
そしてレーナも愛する人を守るため、その不思議な力を使いこなして陰謀に立ち向かう決意を固める――。