あらすじ
本当は天下を奪いたいのではない。預かった天下を、次の世代へ返したいだけだ。
一人で何でもできると信じ、誰も信用しなかった男は、仲間も家族も失い、過労の果てに命を落とした。
次に目を覚ましたとき、男は十四歳の三好孫七郎信吉――のちに関白となり、妻子もろとも滅ぼされる豊臣秀次になっていた。
時は、本能寺の変直後。
孫七郎が持つのは歴史の大まかな流れと、前世で培った経営、財務、組織運営の知識だけ。剣豪でもなければ、超常の力もない。
それでも今度は、「爺」こと前野長康と、「常陸」こと木村重茲を信じ、仕事を任せることから人生をやり直す。
秀吉の天下を支え、幼い秀頼が国を背負える日まで守り抜く。権力を奪い合うのではなく、争わずに引き継げる国を作る。そして、自分がいなくても動き続ける豊臣家を残す。
これは、歴史を改変して天下人になる物語ではない。
一度は誰も信じられず、すべてを失った男が、多くの者へ仕事と未来を託し、滅びるはずだった一族の運命を作り直す物語である。