あらすじ
鉄と油、そして黒煙に覆われたガルバニア連邦帝国。
食料自給率が7割を割り込む極限状態のサバイバル国家で、第2都市軍のベテラン兵士ヘンゼル・バーグ大尉は、高圧蒸気で動く機甲装兵の操縦桿を握っていた。
愛する妻クララと二人の娘、そして「親父」と慕ってくれる若い部下たちを誰一人死なせないため、ヘンゼルは敵を殺さずに詠唱を無力化する指向性音波兵器『ブラスト・システム』を極秘開発する。
しかし、帝国軍上層部が目論んでいたのは、音波で動けなくなった敵魔法士の『生体解剖』という狂気の実験だった――。
自分の技術が地獄の片棒を担がされていたことを知り、激しい自責と絶望に叩き落されるヘンゼル。
家族と部下を人質同然に握られながらも、彼は愛機に特注の『鉄の爪』を忍ばせ、戦場の陰で密かな救出工作を試みる。
だが、破竹の進撃を続ける彼の前に、音波すら通じない絶望――追い詰められた魔法国が放った最後の切り札、大地を操る伝説の老魔法士が立ち塞がる。
互いに譲れぬものを背負った二人の「おじさん」の運命が交錯する、泥臭く切ないダークファンタジー戦記。