あらすじ
高校二年生の橘悠人は、目立たないことを好む普通の男子生徒だ。
放課後は姉の喫茶店を手伝い、夜になると匿名恋愛相談サービス『恋灯』で、相談員〈灰猫〉として悩みを聞いている。
そんな悠人には、どうしても苦手な相手がいた。
成績優秀、容姿端麗、教師からの信頼も厚い学園一の美少女――冬月玲奈。
玲奈は誰にでも礼儀正しいのに、なぜか悠人にだけ冷たい。
目を合わせない。会話は一言。近づけば逃げる。
悠人は完全に嫌われていると思っていた。
ある夜、〈白うさぎ〉と名乗る少女から恋愛相談が届く。
『好きな人が鈍感すぎます。どうすれば私を女の子として見てくれますか?』
相談に書かれた学校、クラス、相手の性格、過去の出来事。
そして、誰にも教えた覚えのない悠人の好み。
どう考えても〈白うさぎ〉の好きな相手は悠人本人だった。
しかも相談者の正体は、彼を嫌っているはずの冬月玲奈としか思えない。
悠人が〈灰猫〉として送った助言を、玲奈は翌日から忠実に実行し始める。
好みの飲み物を机に置く。
偶然を装って隣に座る。
雨の日に一本の傘へ入る。
けれど本人を前にすると緊張しすぎて、口から出るのは冷たい言葉ばかり。
匿名なら誰より素直で、学校では誰より不器用。
日に日に甘く、そして少しだけ重くなっていく彼女の相談に、悠人も心を動かされていく。
正体を明かせば、この関係は終わるかもしれない。
黙っていれば、彼女の秘密を盗み見ているのと同じかもしれない。
それでも今夜も、〈白うさぎ〉から新しい相談が届く。
『手をつなぐには、どんな理由が自然でしょうか?』
これは、攻略対象本人が恋愛相談に乗りながら、学園一不器用な美少女に少しずつ攻略されていく物語。