あらすじ
「この愛は、致死量の毒を孕んでいる」
情報工学を専攻し、すべてを論理(アルゴリズム)で解決できると信じていた大学生の「僕」。
ある雨の午後、親友・翔太の自宅を訪れた僕は、彼の母である美穂と出会う。
完璧な美貌、洗練されたアンティーク家具、適温で供されるダージリンティー。息が詰まるほど完璧な空間を支配する彼女は、しかし、エリート役員である夫からの凄惨な暴力(DV)に日常的に苛まれていた。
「あなただけよ。私のこの傷を……私の本当の姿を知っているのは」
彼女の肌に刻まれた痛ましい痣に触れ、その甘く冷ややかな吐息に絡め取られた瞬間、僕の理性は完全にハッキングされた。正義感という名の狂気と、抗いがたい肉欲。友人の母という「絶対に越えてはならない境界線」を踏み越えた僕は、彼女を地獄から救い出すため、暗黙の共犯者となることを誓う。
夫の書斎で見つけた、大手化学メーカーが隠蔽する猛毒の触媒『VEC-359』。
それは、痕跡を一切残さず人間を死に至らしめる、完璧な暗殺の化学式だった。
監視カメラのログ改ざん、ハッキングによるアリバイ構築、そして毒物の精製。僕は自身の技術と知識を総動員し、彼女とともに夫の「合法的排除」という完全犯罪のアルゴリズムを組み上げていく。
しかし、密室で肌を重ね、彼女の深淵に触れれば触れるほど、一つの疑念が僕の脳内を蝕み始める。
彼女は本当に、暴力に怯える被害者なのか?
それとも僕は、彼女が仕組んだ殺人プログラムの、使い捨ての「ナイフ」に過ぎないのではないか――?
雨夜の密会、血塗られた真実、そして崩壊していく親友との日常。
五感を凌駕する圧倒的な官能描写と、インダストリアル(工業・情報技術)なディテールが交錯する、光闇居士が放つ究極のサイコロジカル・サスペンス!