あらすじ
気温四十二度の猛暑に襲われた町では、誰かを助けると、助けた人の体温が上がる。
危険な「親切」の連鎖を防ぐため、生活安全課の高瀬冬子は〈親切禁止条例〉を作った。町で一番冷たい女と呼ばれる六十一歳の冬子には、十二年前、倒れた人々を一人で救おうとして死にかけた過去があった。
ところが猛暑日の避難所で停電が発生。次々と人が倒れるなか、救助隊の到着は十八分後。条例を守って見ているしかない住民たちの前で、冬子は自ら作った条例を破り、救助を始める。だが人を助けるたび、彼女の体温は危険な高さへ上昇していく。
そのとき少年リクが気づく。三十一人が一度ずつ手を貸せば、誰か一人に熱を背負わせずに済む――。
これは、親切を禁じた女と、傍観することを覚えた町の人々が、「助ける人を一人にしない」という新しい優しさを見つける物語。