あらすじ
数々の建築賞を受賞してきた気鋭の若手建築士、結城浩介(26歳)。
コンペの締め切り前夜、彼が所属する小規模ながらも優秀な設計事務所『アトリエ・ソラリス』をかつてない激震が襲う。
揺れが収まり、所長の大西、構造担当の理沙、アシスタントの翔太と共に重い扉を開けた先――そこは、巨大な月が照らす未知の深い森の中だった。
剣と魔法が存在するグランデリア王国。
しかし、その世界の建築技術は「経験と勘」に頼る非効率な石造りが主流であり、地震や積雪による崩落事故が絶えない後進的なものだった。
「構造計算も地盤調査もなしに建物を造るなんて、正気の沙汰じゃない」
浩介たちアトリエ・ソラリスの4人は、手元に残された限られた現代の製図用具と専門知識、そして「物理法則」を武器に、過酷な自然と魔物が跋扈する辺境領地の開発に乗り出す。
ミリ単位の測量、トラス構造による強度確保、断熱材の概念。彼らが持ち込んだ「現代建築の当たり前」は、魔法すら凌駕する奇跡の技術として異世界を驚愕させていく。
泥にまみれて領地を奔走するアークライト公爵家の令嬢セリアをはじめ、国の最高権力を握る四大公爵家の美しい令嬢たちは、浩介の描く「人々の生活に寄り添う温かい建築」と職人としての情熱に次第に心を奪われていく。