あらすじ
雨や季節を配る魔法の星鐘を修復する音律師、リセラ。壊れた魔法から抜け落ちた一音を聞き分ける力を持ちながら、家の工房では名もない修理役として扱われていた。婚約を公の場で解かれた日、王都の星鐘が沈黙する。異常の原因を聞き取ったリセラに声を失った第三王子エルドが依頼したのは、王国全体の誓約譜を調べることだった。雨を貴族街へ偏らせる改ざんと、王子の声を奪った十年前の事故。二人は筆談と音の記憶を頼りに真相へ近づくが、最後の一音を戻すには、誰かに命じられた言葉ではなく、自分で選ぶ約束が必要だった。