あらすじ
薄暗く寂れた酒場で、ある青年が呟いた。
「俺、いらなくね?」
魔王討伐への出発を翌日に控えた、勇者レオン。
先日の勇者選抜の儀で見事『勇者』に選ばれ、三年に及ぶ冒険の末、ようやく掴んだ使命に彼は熱く燃えていた。
――あの幼馴染が現れるまでは。
「なんか『最強』の文字が勝手についててね」
「魔の森消失――あ、あれは……はい、俺がやりました」
「実はあの後、異世界に飛ばされちゃって」
「責任取れって言われたから、ちょっくら魔王も倒してきて――」
「『最強』(おまえ)がいるなら、『勇者』(おれ)なんていらねーだろうがよ!!」
突然現れた幼馴染のカイルに自尊心を根底から崩されたレオンは、慣れない酒を煽るしかなかった――。
これは、『最強』になった青年と『勇者』になったばかりの青年が、小さな酒場でぐちぐち語り合う話。