あらすじ

剣は振れる。ただ、この男が斬って戦況が変わったことは一度もない。それでも「そこに立ってくれ」と言われた兵だけは、なぜか生きて帰ってくる。誰も欲しがらない、四人だけの分隊の話である。 前の人生では、上と下に挟まれていた。異世界の軍は逆で、強い者が上に立つ。剣の振れない者に発言権はない。 配属されたのは、討伐隊の中でも誰も引き取りたがらない分隊。定数は埋まらず、残っているのは四人。まともに戦えるのは古参兵が一人だけで、あとは治療師と、配属されて間もない少年と、剣の振れない自分。 まずやったのは、四人の名前を覚えることだった。 持っているスキルは《その場の均衡が分かる》。剣も魔法も出ない、ハズレ判定の能力である。魔物には効かない。見えるのは、整っているように見えるものが、実際には崩れかけている瞬間だけだ。見えたところで、渡せる休息も増やせる人手もない。 それでもできることはある。誰と誰を組ませるか。どこに立たせるか。誰を先に下げるか。剣は勝たせてくれないが、誰をどこに置くかだけは、この男にしか見えていない。 手柄は申告しない。勝ち続けることはなく、負けを重ねることもある。それでも、この男が預かった集団は、最後まで残る。 隊を押し付けられ、砦を押し付けられ、領地を押し付けられ、やがて国まで。剣を持たないまま、この男は救国に至る。

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小説を読もう2026/08/20
  • 現在の作品剣を持たない救国のサラリーマン ~隊も砦も領地も押し付けられて国まで至る~