あらすじ
吉田健一、42歳。経理一筋十九年。独身。
人生の哲学は「摩擦ゼロで生きる」。
ある月曜の朝、通勤電車の代わりに異世界へ飛ばされた。
目の前に浮かんだウィンドウには——レベル9999、HP無限、固有スキル五種。
(……これ、目立つじゃないか)
彼の第一声が、それだった。
黒竜を指一本で沈めた。帝国軍を指二本で武装解除した。
そのたびに健一は思う。「目立ちたくないのに」と。
でも。
腐った貴族制度を、奴隷として売られる少女を、
路地裏で座り込んだままの子供たちを——「見てしまった」ら、動くしかない。
それが、四十二年かけても直せなかった、健一の唯一の弱点だった。
英雄になる気はない。革命を起こす気もない。
ただ「おかしいと思ったことを、静かに直す」だけ。
少し不器用で、やたら理屈っぽくて、加減だけがどうしても下手な最強のおっさんと、
競り台の上から買い手を値踏みしていた、聡すぎる元奴隷リーナ。
守れなかった村を引きずり続ける元騎士ガード。
三人が、誰にも気づかれないまま、世界の仕組みを書き換えていく。
脱力系・最強チート・異世界転移の、静かな革命譚。