あらすじ
高校入学後の一学期だけで退学した、紫月莉愛。
他人の視線から自分を守るように地雷系ファッションをまとった莉愛は、駅前のローカルコンビニ「マルトク」で夜のアルバイトを始める。
同じ店の昼間には、アイドルを目指す量産型女子・藤宮桃花が働いていた。桃花もまた、莉愛と同じく高校を一学期で退学した少女だった。
ダンスにレッスンへ向かう桃花が店を出るのは午後4時50分。莉愛が到着するのは午後4時55分。
わずか5分の差で、二人は一度も顔を合わせられない。
桃花は莉愛の採用を聞いた日から、まだ会ったこともない同い年の彼女を「莉愛ちゃん」と呼ぶ。人懐っこくて、少し距離が近すぎる桃花が残したのは、ピンクのうさぎの付箋だった。
『夕方の莉愛ちゃんへ。今日もおつかれさまです』
「会ったこともないのに、なんで名前で呼んでんの……」
莉愛は馴れ馴れしいと思いながら、その付箋を捨てられない。
勤務がすれ違い姿も声も知らないまま、付箋で短いメッセージの交換。そして……。
これは、ドロップアウトして居場所をなくした地雷系女子と量産型女子が、相手の外見より先にその言葉を好きになり、もう一度誰かとつながっていく青春物語。