あらすじ
俺には、特別なところなんて何もない。
成績も普通。運動も普通。クラスの中でも目立たない。
いつも教室の隅でラノベを読んでいるオタク陰キャ。
そんな俺とは正反対に、彼女は学園一の美少女だった。
明るくて、可愛くて、誰にでも優しい。
いつも友達に囲まれている、クラスの人気者。
けれど――。
彼女は周囲を何度も確認すると、誰にも見られていないことを確かめるように、店先のガチャガチャへ近づいていった。
そして、そっとお金を入れて。
ガチャリ。
出てきたカプセルを開けた瞬間。
「……っ! やった……!」
普段の彼女からは想像もできないほど嬉しそうな顔。
その姿を、俺は見てしまった。
しかも彼女が引いたのは、俺も知っている作品のキャラクターだった。
「……もしかして、これ好きなの?」
「――っ!?」
その日、俺は知ってしまった。
それは彼女が隠れオタクだということだ。
「……お願い。誰にも言わないで」
こうして始まった、学校では絶対に知られてはいけない、二人だけの秘密のオタク友達生活。
好きな作品を語ったり、グッズを集めたり、ゲームをしたり。
まだ俺たちは、ただのオタク友達。
だけど、好きなものを語り合って、くだらないことで笑い合って。
そんな時間が、いつか特別なものになっていく。