あらすじ
「お前を愛することはない」
冷徹王太子と恐れられるアルセス・レグナリアに嫁いだ夜、ルシアはそう告げられた。
けれど、それは彼女にとって都合のいい話だった。
なぜならルシアは、彼を殺すために送り込まれた暗殺者だったから。
幼い頃から感情を殺し、命じられるまま人を殺してきたルシア。
アルセスへ近づくため、彼女は明るく無邪気な王太子妃という「仮面」を被る。
共に政務をこなし、くだらないことで笑い、少しずつ縮まっていく距離。
すべては暗殺のため。
そのはずだった。
けれどいつしか、作り物だったはずの笑顔と、本当の自分との境目が分からなくなっていく。
そしてルシアは知ることになる。
冷徹王太子と呼ばれる男が、その胸の奥に隠していたものを。
「お前を愛することはない」
あの日は都合がいいと思ったその言葉が、いつしか何よりも彼女を苦しめていた。